Flux 3の機能と特長
Flux 3はBlack Forest Labsのマルチモーダル基盤モデルです。出力ごとに別々のモデルを用意するのではなく、画像・動画・音声をまとめて学習しているため、1つのプロンプトから、現実世界と同じようにふるまう、動いて鳴るショットが返ってきます。
Black Forest Labsは2026年7月23日にFlux 3を発表し、2026年8月4日に動画生成を一般提供しました。クリップはHD720pまたはフルHD1080pで5秒から20秒、21:9から9:16までの7種類のアスペクト比に対応し、音声は既定で映像と一緒に生成されます。以下はすべてBlack Forest Labsが公開しているプロンプトガイドに沿っています。
| 機能 | 内容 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| ネイティブ音声動画 | クリップと同期した音声を1回の生成でまとめて作る | 音ありのシーン、セリフ、効果音 |
| 現実の物理 | 動きが質量と勢いに従い、音も衝撃と一致する | 商品映像、アクション、解説 |
| キーフレーム | 最大10枚の静止画を打ち、1本の連続したショットに補間する | 狙ったトランジション、絵コンテ |
| 動画継続 | 既存クリップの最終フレームから続きを生成する | 長いシーン、良いテイクの延命 |
| 多言語セリフ | 13以上の言語をリップシンク付きで話す | ローカライズ動画、出演者、広告 |
| マルチショット生成 | 1回の生成の中に複数のアングルを組み込む | 短編、広告、リビール |
| ドラフトモード | 高速プレビューの後、それに沿ったフル画質を生成する | 決定前の方向性の検証 |
ネイティブ音声動画
見出しの機能は、映像と音が一緒に届くことです。Flux 3は同じ生成の中でクリップと同期したネイティブ音声を作るので、衝撃音や足音、セリフは後から重ねるのではなく、最初から動きに結びついています。プロンプトには欲しい音を書き、セリフがあるシーンでは言語も指定します。
現実の物理
Flux 3は動き・質量・音を1つのシステムとして学習しているため、重さや勢い、衝突が現実のルールに従い、カメラが動いても素材の見た目は保たれます。ショット全体で動きがどう展開するかを描写すれば、物理はぶれることなく、実際に撮影したような仕上がりになります。
キーフレームと継続生成
動きを制御する方法は2つあります。1つは静止画をキーフレームとして打つ方法です。1枚で冒頭のフレームを決め、2枚で始点と終点を固定し、タイムスタンプに打った最大10枚を絵コンテとしてモデルが順番になぞります。もう1つは手持ちの映像を渡す方法で、継続生成が最終フレームから続きを作り、勢いやカメラの挙動、音のベッドをカットなしで引き継ぎます。
多言語セリフとタイポグラフィ
セリフを鍵括弧で示し、言語を指定して話し方を描写すると、Flux 3はアクセントとリップシンクを合わせて画面上で話します。対応言語には英語とその方言、中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、日本語、ポルトガル語、ロシア語、イタリア語、インドネシア語、トルコ語、ヒンディー語、パンジャブ語が含まれます。画面上のテキストはシーンの一部として生成され、カメラが動いても崩れにくいので、タイトルや看板の文字も映像の中で読めるまま残ります。
Flux 3の活用例
ネイティブ音声のシーン
セリフや効果音がすでに動きと同期して返ってくるので、あとから直す無音のテイクにはなりません。
商品・ブランド映像
カメラが動いても反射や重さ、素材感が崩れないので、注ぐ・回す・落とすといったショットが実写のように見えます。
マルチショットのシーケンス
1回の生成に複数のアングルを組み込んだり、継続生成でクリップを延長したりしても、同じキャラクターがカットをまたいで保たれます。VTuberや配信キャラクターの一貫性づくりにも生かせます。

ローカライズ動画
多言語のセリフと正確な画面上テキストにより、1本のシーンをタイトルや音声を別収録せずに複数言語向けへ書き出せます。

ドラフトしてから本番へ
方向性をまず素早く安く確認し、承認したテイクだけを同じ被写体・構図・動きのままフル画質で仕上げます。SNS投稿やサムネイル用の検証にも向いています。

現実の物理に基づく解説映像
重力や衝突、動きが現実のルールに従うので、しくみ解説の映像が正確さを保ったままクリーンに仕上がります。
Flux 3のプロンプトの書き方
物のリストではなく、1つのシーンを演出するつもりで書きます。Black Forest Labsのガイダンスは、何が起きるか、被写体がどう動くか、カメラがどうふるまうか、そしてショットがどう鳴るかを、カメラが実際に映せる具体的な名詞と動詞で名指しすることです。曖昧な形容詞は結果を運任せにします。
プロンプト形式を選ぶ
Flux 3は4つの形式に対応しており、長さそのものが目的ではありません。まずは短く始め、制御が必要なところだけ長くします。
| 形式 | 使うタイミング | 例 |
|---|---|---|
| 短いフレーズ | 素早く探索したいとき、被写体が1つで偶然性を楽しみたいとき | 望遠で、新雪の中を跳ねる赤いキツネ |
| 自然文の一文 | 1ショットの日常的な基本形 | 早朝の神社の参道を、白い息を吐きながら駆け抜けるキツネのロートラッキングショット |
| ラベル付きフィールド | 残りに触れず、1つのレバーだけを調整したいとき | カメラショット:ワイド、ローアングル。被写体:騎手が川を渡る |
| タイムステップ | アクションを狙った瞬間に合わせたいとき | 0.0〜1.5秒は港をロックしたワイドショット。1.5〜3.0秒でゆっくりとした寄りが始まる |
自然文の一文には、覚えておく価値のある形があります。「[カメラ]による[被写体]が[環境]で[動作]するショット」の順で組み立て、そこにビジュアルと動きの詳細を足していきます。タイムステップの区切りは実現可能な数に絞り、5秒のクリップなら2つか3つ、アングルが変わるところには必ずハードカットを記します。
マルチショット向けにCASTLEを組み立てる
複数のショットにまたがって見た目とストーリーを保つ必要があるとき、Black Forest Labsは6つの要素からなるスキーマを示しています。頭文字を並べるとCASTLEになります。これはBlack Forest Labsのスキーマを覚えやすくするための独自の呼び方であり、公式な名称ではありませんが、長いプロンプトに何が抜けているかを最速で確認できます。
| 要素 | 書く内容 | |
|---|---|---|
| C | Core summary(コア概要) | シーケンス全体を1行で押さえる。誰が、どこで、どんな展開か |
| A | Audio(音声) | 各ショットの音の情景を、フレームと同期させて書く |
| S | Subject(被写体) | 全ショットで一字一句同じ記述に保ち、アイデンティティを固定する |
| T | Timeline(タイムライン) | 各ショットのタイムコード付きで、カメラの動きと被写体の動作を書く |
| L | Look(ルック) | 全体の仕上がり。リアリズムの度合い、色調、粒子感を決める |
| E | Environment(環境) | 各ショットの舞台、光の質、被写界深度を書く |
埋める順番はどれからでも構いません。組み立てる際は、Black Forest Labsが定めた順序、コア概要→環境→被写体→タイムライン→音声→ルックに沿ってプロンプトをまとめます。被写体の記述をショット間で一字一句同じに保つことが、カットをまたいだキャラクターのブレを防ぐ、このガイドの中で最も安上がりなコツです。
欲しい音を指定する
音声は映像と一緒に生成されるので、音を連想させるシーンのほうが、抽象的なシーンよりモデルに多くの手がかりを与えられます。足音、衝撃音、雨、エンジン音、群衆のざわめきはどれも明瞭に再現されます。層は4つあり、すべてを毎回使う必要はありません。
| レイヤー | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| セリフ | 話者、鍵括弧で正確な言葉、話し方 | 整備士が「今すぐ試してみて」と言う。落ち着いた、素っ気ない口調 |
| 環境音 | その場所の音 | 窓を打つ雨音、ダイナーの低い話し声 |
| 効果音 | 見えている動作に結びつく音 | 陶器のマグカップがソーサーに当たってカチッと鳴る |
| 音楽 | スタイル、テンポ、ミックス内での位置 | シーンの下でまばらなピアノがミックスの低い位置で鳴る |
この作業の大半を担うのは2つの習慣です。無音を求めるのではなく、音の発生源を名指しします。「静かな部屋の空気感」は無音のまま何も鳴らないことがある一方、「窓を打つ雨音」ならモデルが再現できる手がかりになります。セリフを書くときは、話者が画面に映っているのかナレーションなのかを明示してください。そうしないと、鍵括弧のセリフが画面上のテキストとして描かれてしまうことがあります。
雰囲気ではなく声そのものを指示する
「プロフェッショナルで温かく、引き込まれる声」と書いても、毎回同じ整った案内アナウンサー風の読みになります。年齢やアクセントが重要なときはそれを、声のトーン、収録方法、抑揚、そして「アナウンサー調にしない」といったガードレールを、具体的な手がかりとして与えるほうが効きます。そして生成する前に、そのセリフを声に出して読んでみてください。声の演出は、硬い原稿までは救えません。
よくある間違い
- 静止画を描写している。動画モデルに必要なのは、言葉で表した1枚の写真ではなく、時間の経過に沿った動きです。
- 音を書き忘れている。音声は既定で生成されるので、欲しい効果音や環境音、セリフを名指ししてください。
- カメラ用語を積み重ねている。「ロートラッキングショット」は明確ですが、「ローアングルの空撮ハンドヘルドオービットプッシュイン」は伝わりません。
- ネガティブプロンプトを書いている。Fluxのモデルはネガティブプロンプトに対応していないので、欲しいものだけを書いてください。
- 短いクリップに詰め込みすぎている。複数の話者や長いセリフ、複数のビートを5秒に詰め込むと、最後の言葉が途切れます。セリフを短くするか、長さを伸ばしてください。
機能の全リストと仕様は、Flux 3モデルページをご覧ください。
