
ポジフィルム、1974年
1974年のポジフィルムで撮った写真。深く彩度の高い赤、強いコントラスト、わずかに冷たい影。60代はじめの女性が、砂漠のガソリンスタンドにいます。木目パネルのワゴンの荷台に寄りかかり、腕を組みます。カメラの後ろから差す真昼の硬い日差しに、少し目を細めています。色あせた綿のシャツ、ひびの入ったバンドの腕時計。髪が乾いた風にわずかに揺れます。背後には給油機と、手描きの値札板。遠くの山は平らで白っぽく見えます。細かい粒子、飾らない肌の質感、2:3の縦位置。
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湿板写真、1861年
湿板コロジオンのティンタイプ。1861年。薬液のかけムラで板の縁が暗くなります。ピンホールが散らばり、角には垂れた跡が1本。40代の鍛冶職人が、革のエプロン姿でカメラに正対して座ります。両手は膝の上に重く置かれます。長い露光に耐えたので、顔は鮮明ですが、片方の肩だけがぶれています。左の高窓から、やわらかい北向きの光。階調の幅は狭く、ハイライトは銀色。肌は青に感光しやすく、白っぽく写ります。4:5の縦位置。
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日に焼けた色あせ
日なたに置きっぱなしにした、色あせたプリント。黒は持ち上がって白っぽく、コントラストは低く、色はピンクと麦わら色に寄っています。鋼鉄の柱に載った、道端のモーテルの看板。塗装は粉をふいてひび割れ、矢印の電球が1つ抜けています。平らな午後の光で、影の向きは見えません。乾いた路肩と、ぼけた1台のピックアップ。真っ黒にも真っ白にもならない画面。乳剤にほこり、やわらかい粒子。3:2の横位置。
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スクリーン印刷、見当ずれ
4色のスクリーン印刷。各版が約2ミリずつ見当からずれ、色の境目に細い白い隙間と二重の縁が出ます。連なる丘の山並みを、重なる平らな形にまで減らします。インクは、目の粗いクリーム色の紙の表面に、はっきり乗っています。色は焼けたオレンジ、オリーブ、スレート、黒に限ります。重なった所は、より暗い5色目と6色目に。片方の縁はインクがかすれ、ベタの部分にメッシュの跡。1:1の正方形。
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木炭とチョーク
中間のグレーの色紙に、木炭と白チョーク。紙そのものを塗り残して、すべての中間調にします。冬の造船所。船体が台に載り、竜骨の線が画面の幅いっぱいに走ります。船体にはしごが立てかけてあり、足元にまとめたシートがあります。木炭は、船体の下と小屋の中の深い影だけを拾います。チョークは船体の上部と、濡れた地面にだけ使います。空の部分は指でぼかし、紙の目が見えます。4:3。
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ステンドグラス
背後から日の光を通して撮った、ステンドグラスのパネル。どの色も光り、鉛線は真っ黒に見えます。水に向かって飛び込むカワセミの図案です。色ガラスの小片を組み、色が変わるのは必ず鉛の継ぎ目です。手吹きの縞入りガラスは、コバルト、ターコイズ、琥珀、白。1片ごとに、内部のムラと気泡があります。鳥の頭と目には、焼き付けたごく薄い絵付け。鉛線に沿って、パテが見えます。1:1の正方形。
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楽焼の釉薬
楽焼の鉢のスタジオ写真。釉薬の表面全体に細かい貫入が走り、どの貫入も煙で黒ずんでいます。釉薬のかかっていない高台は、還元焼成でマットな黒になりました。銅の釉薬は、片側では玉虫色のピンクと緑に閃き、反対側では鈍いターコイズのままです。左上からの方向のあるやわらかな光が縁をかすめ、ろくろ目を見せます。素のままの灰色のコンクリートの上に置き、影はやわらかく1つ。4:5の縦位置。
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クロスプロセスのスライド
逆の薬品で現像したスライドフィルム。影はシアン、中間調は黄緑、ハイライトは白く飛びます。午後遅くの、誰もいない公営プール。奥のコースロープに、折った腕を載せて休む泳者が1人。水面は硬い光の粒に砕けています。色あせたレーンの表示と、積まれたビート板。金網のフェンスが、床に長い斜めの影を落とします。強いコントラスト、粗い粒子、青は不自然なほど強く。3:2の横位置。
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夜のタングステンフィルム
タングステン光に合わせたカラーフィルムの夜。明るい光源のすべてに、赤いハレーションがやわらかくにじみます。雨上がりの狭い通りで、店はみなシャッターを下ろしています。遅くまで開いているパン屋が1軒だけ。窓の暖かい光が、濡れた舗道に広がります。自転車の人が大きく踏み込んで画面を横切り、少しぶれています。ナトリウム灯が奥まで並び、それぞれに光の輪。何にも照らされない影は冷たい青です。暗部に粒子が見え、色はアンバーと緑の中間。16:9のワイド。
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銀残し(ブリーチバイパス)
銀残しの色調。彩度は大きく落ち、黒は潰れ、残った色の上に硬い銀色のハイライトが乗ります。夜明けの小さな漁港。鋼鉄の船のへりごしに、2人の乗組員が網を引き上げます。息が白く見えます。濡れた甲板と、ほとんど灰色になった青いロープの束。船尾の上に、かもめが浮いています。空は平らな白に見え、船体には錆の筋。コントラストは高く、金属的です。本当の色が残るのは、ロープと1つの橙色の浮きだけ。3:2の横位置。
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スプリットトーンのプリント
暗室で焼いたスプリットトーンのプリント。影は冷たい青灰色、ハイライトは暖かいセピア。中立の灰色は、どこにもありません。低い日差しの中、クライマーが白亜の崖を横切ります。滑り止めのチョークをつけた片手を伸ばし、ロープは画面の外へ下ります。小さな穴だらけの風化した岩と、背後の海のもや。足より低いところに、かもめが1羽。色の代わりに、階調の分離がすべてを担います。深い黒と、平らな空に見える紙の質感。2:3の縦位置。
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サイアノタイプ(青写真)
厚手の水彩紙に焼いたサイアノタイプ。光が当たった所は深いプルシアンブルー、物の影になった所は紙の白です。四辺には、刷毛で塗ったムラのある塗布の縁が残ります。3本のシダの葉を平らに置きます。1本は先がわずかに浮き、影がやわらかく広がっています。液の下に、紙の繊維の質感。塗りが薄くなって明るい斑になった所が数か所、角には指紋が1つ。冷たい青の単色で、ほかの色はなし。4:5の縦位置。
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木版画
伝統的な木版画。刷った黒の主線が、すべての色の面を囲みます。線の中は、ムラのない平らなインクの面です。木の橋に、急な通り雨。3人が蓑を着て、急ぎ足で渡ります。雨は定規で引いた斜めの線にして、紙面全体に走らせます。色は藍、くすんだ黄土、灰緑、生成りに限ります。上端には、版をぬぐって作る藍のぼかしの帯。平らな面に、木目がうっすら見えます。2:3の縦位置。
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七宝焼
七宝焼のブローチのマクロ写真。細く盛り上がった金線が、閉じた仕切りをつくります。それぞれの中に、ガラス質の七宝釉がたまっています。わずかに盛り上がり、窓のやわらかなハイライトを拾います。図案は、模様のある羽を持つ蛾。色の帯は、それぞれ自分の仕切りに収まっています。深い青緑、プラム、クリーム、暖かい金。釉には小さな気泡が閉じ込められ、仕切りの縁に小さな欠けが1つ。金線は、マットな釉の中で明るく磨かれています。被写界深度は浅く。1:1の正方形。
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インスタントフィルムのにじみ
インスタントフィルムの写真。ハイライトの周りに、やわらかい化学的なにじみ。暖かい色かぶり、ゆるいビネット、少し白っぽい黒。塗装した窓台に、小さな丸いリップクリームの缶が載っています。缶には「SOLENNE」と書かれています。縁の欠けたホーローのマグが、その隣に。朝の光が、薄いカーテン越しに左から差します。窓台の端は塗装がはがれ、結露の輪と、枯れ葉が1枚。低いコントラストで、くすんだバラ色とクリーム色。ぼけたレンズではなく、化学反応のやわらかさに見えるように。1:1の正方形。
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直射フラッシュ、1994年
家庭用のカメラとカラーネガで撮ったスナップ。1994年。カメラ直付けのフラッシュが、被写体の背後の壁に鋭い影を落とします。小さな台所に、誕生日で3人が詰めて立っています。1人は紙皿を手に、笑った瞬間。もう1人は、カメラから顔をそむけています。壁紙は小さな柄の繰り返し。壁掛けカレンダーと、カウンターに詰め込まれた瓶。ホワイトバランスは少し狂い、1人は赤目に。散らかっていて、ポーズはなし。4:3。
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2色式カラー
初期の2色式カラー。赤と緑の染料だけで、画面のどこにも本当の青はありません。刺繍を施した重いテールコートの奇術師が、小さな劇場の舞台の端に立ちます。片手は描き割りに置き、足元の暖かいフットライトのほうを見ています。肌はピンクがかった橙色。青のはずの背景は、青緑になります。コートの金属糸は、硬い光の点を拾います。画面の縁はピントがやわらかく落ち、いちばん明るい部分の周りに薄いハレーション。4:5の縦位置。
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デイ・フォー・ナイト
デイ・フォー・ナイト。明るい日差しの中で撮り、深い青に整えます。日向の影の硬い縁は、そのまま残します。1人の漕ぎ手が、木の小舟を開けた水面に進めます。オールは漕ぎの途中。航跡は、グレードでも消しきれない明るい線を拾います。遠い岸は暗い帯に。空は星のない濃紺です。2段のアンダーで、コントラストは高く保ちます。画面全体が冷たく、暖かいのは彼の手の肌だけ。16:9のワイド。
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手彩色の銅版画
博物図譜の図版にあたる、手彩色の銅版画。細かい交差ハッチングの線が、形のすべてを担います。その上に薄く透明な水彩を重ね、輪郭を2か所で少しはみ出します。葦の間にアオサギが立ち、首をかしげ、片足を水から上げています。黄土色、セージグリーン、くすんだ青のおだやかな彩色。紙は暖かいアイボリーに焼け、角にはフォクシング(茶色のしみ)。下に刻んだキャプションは、小さな大文字で「GREY HERON」。2:3の縦位置。
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エアブラシの文庫カバー
1970年代末のSF小説の、エアブラシによるカバー絵。筆跡のない、なめらかなグラデーション。前景のシルエットが空と接する所には、マスキングで切った硬い縁が1か所。6本脚の歩行機械に乗った孤独な騎手が、夕日の砂丘の頂に出ます。背後の低い空に、2つの月。空は深い紫からオレンジへ。砂は、なめらかに溶け合う面で描きます。星は小さな白い点。地平線にはエアブラシの吹き残しがわずかに。機械のクロムの細部は、鋭い反射を拾います。9:16の縦位置。
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